スマートにキクラゲ栽培 環境管理を自動システム化 農家・仲眞さん開発、販路拡大へ


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自動でキクラゲの栽培管理ができるシステムを独自で開発した仲眞秀哉さん=4月26日、北中城村内

 【北中城】北中城村内でキクラゲ栽培を手掛ける旭イノベーション代表の仲眞秀哉さん(35)が、気候条件などに応じて自動で水やりをしたり、ハウス内の温度・湿度を調整したりする栽培管理システムを独自で開発した。4月に導入し、農作業の省力化や収穫量・品質向上を実現した。仲眞さんは「システムをさらに調整し、最高品質のブランドにしたい」と農業分野のITを活用したスマート農業化に意欲を示す。

 独学でプログラミングを学び、フタバ種苗卸部(南城市)の協力の下、友人と2人で開発した。作業効率が上がったことで加工品開発や営業に専念でき、販路拡大に取り組めるという。

 ハウス中央部には温度、湿度、二酸化炭素濃度を測るセンサーを、ハウス外には風速と風向を測るセンサーを設置した。計測値はシステム制御に届き、そこからハウス内の機械にさまざまな指示が送られる。自動でキクラゲ栽培に適した環境を24時間管理することが可能になった。スマートフォンのアプリとも連動し、どこにいてもハウスの環境を確認できる。

 農業人口の低下で情報通信技術(IoT)や人工知能(AI)を活用したスマート農業の必要性が叫ばれる中、メーカーが販売するシステムは高額な上、農家の規模や環境、需要に合わない場合が多いという。

 仲眞さんは「個々の農家に応じた栽培管理をプログラミングするには限界がある。自分の場合は農家のため、かゆいところまで手が届く調整ができた」と説明する。

 だが農家自らがシステム開発をするのは極めてまれだ。仲眞さんは「各農家に合ったシステムを案内できるコンサルタントが必要だ。営利目的でなく、農家とメーカーの間に立つことで、スマート農業は普及するはずだ」と語る。

 今後はデータを蓄積し、年間収穫量を予測する。予測量に応じて、計画的に加工品開発や販売に取り組めるという。「スマート農業は楽をする手段ではなく、6次産業化や販路拡大につなげるための時間づくりだ。そうすれば収入も安定しやすく、農家になりたい若者も増えるはずだ」とスマート農業の可能性を語った。 (石井恵理菜)