【東京】沖縄国際大の前泊博盛教授、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長が19日、参院ODA沖縄北方特別委員会に参考人として出席し、日本復帰51年を迎えた沖縄の課題について意見を述べた。
前泊氏は、県民1人当たりの所得が全国最下位にとどまるなど低迷を続ける沖縄経済を「最大の課題」に挙げた。
日本復帰後の沖縄振興に関連し、約13兆5千億円の投資があったとしながらも「歩留まり率が非常に低い」と指摘。「48%ほどは本土のゼネコンに環流してきた」として、いわゆる「ザル経済」を問題視した。
下地氏は、新型コロナ感染拡大からの回復途上にある観光業について、インバウンド(訪日客)の回復が「遅れている」と指摘。要因として「空港での人手不足が解決できていない」とした。出席議員との質疑では、前泊氏が、南西諸島の防衛強化が地元への十分な説明がないまま進んでいる点に「誰一人取り残さない国家の安全保障政策をしっかり議論しなければいけない」とした。在沖米軍基地周辺地域での有機フッ素化合物「PFAS」の汚染拡大に関連し、日米地位協定の「全面的な見直し」が必要との認識も示した。
下地氏は、南西防衛強化が観光業に及ぶ影響を問われ、「県民に対して理解をしっかり求めていくことが最重要だ」とし、「平和達成のために沖縄が果たす役割を発信していくことが大事」とも述べた。水野素子氏(立憲民主・社民)への答弁。
(安里洋輔)