国頭、下地島沖の海底洞窟に新種の海綿動物 「クラヤミモミジマトイ」と命名 県立芸大、名桜大などの研究グループ


この記事を書いた人 琉球新報社
国頭村沖合で採取された海綿動物の新種「クラヤミモミジマトイ」(藤田喜久氏ら研究グループ提供)

 県立芸術大や名桜大、黒潮生物研究所(高知県)などの研究グループは22日までに、沖縄本島や下地島(宮古島市)沿岸部の海底洞窟から、新種の海綿動物を見つけたと発表した。光の届かない所に生息し、体表を覆う「骨片」と呼ばれるガラス質の組織形状をモミジに見立てて「クラヤミモミジマトイ」の和名を付けている。

クラヤミモミジマトイの体表を覆う骨片(藤田喜久氏ら研究グループ提供)

 県立芸術大の藤田喜久教授らが2013年より沖縄周辺の海底洞窟を調査しており、同年3月の調査で下地島沖、2015~16年の調査で国頭村西海岸の沖合でそれぞれ発見。体長は2、3センチで、骨片の特徴が他の種と異なることから、新種と見なされた。16日付で学術雑誌「ズータクサ」に発表している。

 新種が採取されたのは、洞窟奥で淡水と混ざり合って塩分が低下する「汽水的環境」。汽水的環境下の洞窟は真っ暗で視界が悪いことから調査が難しく、研究グループによるとそのような場所にすむ海綿動物の研究は、世界で5例しかないという。今回の報告は、インド洋から西大西洋の海域では初めてになる。

 藤田教授は「今回の新種発表をきっかけに研究が進むことで、海底洞窟の動物相を解明するきっかけになってほしい」と話し、調査を通じて海の生物多様性の解明につながることを期待した。
 (小波津智也)

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