〈148〉画像診断 検査時間や被ばく考慮


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 画像検査には超音波、単純X線(いわゆるレントゲン)、CT、MRIなどがあります。それぞれ超音波やX線、磁場・電磁波を用いて体内を画像化し、病気を診断することが目的ですが、体の部位や病気の種類によって使い分ける必要があります。日常診療で頻繁に行われる検査は超音波やX線検査です。X線検査は肺がんや肺炎、骨折などをみることが目的です。超音波は肝臓や腎臓、妊婦さんなど腹部臓器の評価を簡便、安全に行うことができます。

 それでは、CTやMRIはどのような時に使われるのでしょうか? どちらも体の中を断面でみる画像検査であり、前述の超音波やX線検査では評価が難しい場合に行われ、精密検査の度合いが高い検査です。例えば、胸部X線検査で肺に異常が見つかった場合、CTを撮影し、肺がんであれば大きさや広がりを評価して治療方法を決定します。

 最近では肺がんのリスクが高いとされる50歳以上の重度喫煙者を対象に、低線量CT検診を行うことも推奨されています。

 脳卒中もCTやMRIの適応疾患です。脳の血管が破れて出血するとCTでは血腫が白く映し出されるため、直ちに診断が可能です。脳の血管が詰まって脳細胞が障害される脳梗塞は、CTですぐに診断は難しいのですが、脳血管の形や脳細胞の障害を映し出すMRIであれば急性期でも診断が可能です。

 そのほかMRIは、CTでは評価が難しい脊椎や四肢の異常(椎間板ヘルニアや肩の靭帯(じんたい)損傷、膝の半月板損傷など)、婦人科系の病気(子宮筋腫や卵巣腫瘍など)を詳細に評価可能です。

 このように、MRIは脳をはじめ、臓器の構造を詳しく評価できるので、CTより診断能が高いといえますが、弱点もあって検査時間が長い上に検査範囲が限られています。逆にCTは短時間で広範囲の撮影が可能ですが、被ばくを伴うことが欠点です。実際の臨床現場では、患者さんの症状などをもとに可能性の高い疾患を考え、検査時間や被ばくのことも考慮しながら画像検査の適応を決めています。

(伊良波裕子、琉球大学病院 放射線科)