県内ホテル、95%が「労働力が不足」 コロナ禍で流出した人手、補っているのは派遣社員


この記事を書いた人 琉球新報社
ホテルのベッドメーキング作業(資料写真)

 県ホテル協会(平良朝敬会長)が4月に実施したホテルの労働力に関するアンケート調査で、県内ホテルの95.7%が「労働力が不足している」と回答した。同協会が25日、発表した。人手不足はコロナ禍以前から存在していたが、コロナ禍で労働力が流出した現在の状況は深刻で、同協会は「外国人の採用も積極的にすべきだ」としている。

 従業員数は新型コロナ感染拡大前の2019年比で4.8%(110人)減だった。内訳は正規社員が10.5%(134人)減、非正規社員が1.7%(17人)減なのに対し、派遣社員は約2.9倍(41人増)となった。コロナ禍で流出した労働力を、派遣社員で賄っている結果が得られた。

 適正人員と比べた不足の割合は、5~10%と回答したホテルが50%。20~30%不足していると回答したホテルも9.1%あった。

 労働力不足による営業面の影響として、レストランやバーの営業時間の短縮・休業休日の設定(56.5%)、客室稼働制限(21.7%)が上位に上がった。その他、レストランの予約席数の制限や、客室清掃の遅れ、従業員の残業代の増加などもあった。

 特に不足が著しい部門は調理(65.2%)、レストラン・サービス(65.2%)、客室清掃(56.5%)、宿泊(52.2%)だった。

 労働力の確保として特定技能の在留資格者を採用しているのは8.7%、技能実習生は178.4%だった。52.2%が今後外国人の採用を予定(検討)していると答えた。

 平良会長は「2019年比で減少は5%程度という結果が出たが、客室の稼働制限などがある中でのこの数字だ。ホテル業界の人手不足はコロナを経て始まったことではなく、永遠の課題だ」と説明した。

 調査は協会の正会員77ホテルに依頼し、離島を含む県内23ホテルから回答を得た。
 (與那覇智早)