EFポリマー、高い保水力で収量増や肥料抑制に効果 5億5千万円調達し生産拡大へ


この記事を書いた人 琉球新報社
保水力や保肥力があり、肥料コスト削減や収量増加の効果も確認されているEFポリマーの製品=インド(提供)

 オレンジの皮などを原料に自然由来の超吸水性ポリマーを開発したEFポリマー(恩納村、ナラヤン・ガンジャールCEO)はこのほど、生産設備の増強や研究開発のため5億5千万円の資金調達を完了した。土壌の保水力や肥料分を保持する保肥力に優れているというEFポリマーの現在の月10トンの生産量を、年内に50~100トンに引き上げる。県内での実証では、恩納村でのサトウキビの試験でEFポリマーを使った場合の収穫量が通常よりも20%多いとのデータが得られ、生産増や高騰する肥料コストの低減も期待される。

 記録的な少雨が続きサトウキビの発芽に影響が出ている大東地方でもEFポリマーの効果を確かめる試験を実施する。

 創業者のガンジャール氏の出身地のインドや日本、米国で販売され、ポルトガルや韓国など11カ国で実証試験が進む。

読谷村で収穫されたニンジン。EFポリマーを使った場合の身割れは少なく、収量も多かった(提供)

 これまでの試験では節水や肥料コスト削減、収穫量や所得の増加などの効果も確認された。県内でも5月に読谷村の栽培試験でニンジンの身割れ軽減や収量増加の結果が出た。

 導入した農家は5カ国で1万2千戸に上る。2020年10月以降、インドで45トン、日本20トン、米国51トンを販売した。インドにある生産工場の設備増強などのため、2023年5月にはベンチャーキャピタルのユニバーサルマテリアルインキュベーターなどから5億5千万円を調達したと発表した。

 資金調達を受け、ナラヤン氏は「インドと沖縄のメンバーが一丸となり、今後さらに農家に寄り添う製品開発とサービスの提供を心掛けたい」とコメントした。
 (當山幸都)