【2008年4月15日掲載】
プロバスケットボールbjリーグは4月13日、レギュラーシーズンの全日程を終えた。今季から新規参入した琉球ゴールデンキングスのシーズンを振り返った。
■不本意な成績
10勝34敗、西地区最下位という成績は、新規参入であることを考えてもやはり不本意。大阪や高松といった強豪に対して互角に渡り合いながら、1クオーターだけ突如エアポケットに入ったようにシュートが決まらなくなり、守備でも相手のボールを奪えずに攻守の歯車がかみ合わなくなる試合が多かった。結果として、1クオーターでリードをひっくり返されたり、大きく突き放されて敗れる試合が何度もあった。
ヘルナンド・プラネルズヘッドコーチがしばしば口にしたように、若いチームゆえの不安定さは確かにあったが、同じ新規参入の福岡に6連敗を喫するなど、経験不足だけが原因とは言えない。シーズン開幕当初からあった波のある戦いを、最後まで改善しきれなかったことが痛かった。持ち味の速攻につなげる機会を増やすためにも、来季に向けてチーム全体で安定した守備と攻撃のバリエーションの強化が必要となるだろう。
■沖縄出身選手の奮闘
低迷したチーム成績とは別に、特に県出身選手は個々の能力の高さを随所で発揮した。ドラフト全体1位の澤岻直人は、高い得点能力と視野の広いゲームメークで、1試合平均5・8アシストと個人アシストランキングリーグトップとなり、スティールも1試合平均2・1本でランキング3位に入った。12月には月間MVPを獲得するなど期待にたがわぬ活躍を見せた。
金城茂之は、鋭いカットインで堅固な守備をこじ開ける壊し屋としてチームに貢献した。シーズン後半戦からポイントガードとして出場数が増えた友利健哉も、速さを生かしたプレーでブースターを沸かせた。
キングス以外のチームでも県勢は活躍した。91・0%という驚異の成績でフリースロー成功率1位、3点シュート成功率でも42・5%で3位となった仲村直人(大阪)や、1試合平均5・6アシストで澤岻に続いてランキング2位となった与那嶺翼(大分)の活躍が光った。外国人選手の出場制限がないbjリーグの中で、日本人選手が上位3位までに入った4部門すべてで県出身選手が3位までに入り、バスケット王国沖縄をあらためて印象づける結果となった。
■幸福な半年間
新しい挑戦のシーズンは、チームの成績には物足りなさもあったが、それでもなおブースターにとっては幸福な半年間だったと言える。そもそも、バスケットファンが不調の地元チームに対して愚痴をこぼせることが、キングスの参入前には考えられなかったことだ。
残り3秒を切ってからハーブ・ギブソンのゴールで逆転勝ちした1月25日の新潟戦では、会場全体がまるで優勝したかのように盛り上がった。キングスは、週末に大きな楽しみを与えてくれた。沖縄のプロスポーツの歴史はまだ始まったばかりであり、来季以降はチームの成長とともに、プロスポーツ文化もさらに成長していくだろう。
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