大同火災、6期ぶりに増収増益 純利益14億円 新種保険の伸びが増収の要因に


この記事を書いた人 琉球新報社

 大同火災海上保険(那覇市、与儀達樹社長)は31日、2023年3月期決算を発表した。売上高に当たる正味収入保険料は、自動車保険が料率引き下げで減収となったものの、力を入れる新種保険が伸びて前期比0.6%増の166億6700万円となった。支払いに備えた積立金の減少で経常利益は同8.3%増の10億3500万円、純利益は繰延税金資産を計上し、同約1.8倍の14億3600万円で6期ぶりの増収増益だった。

 収入は全体の65%を占める自動車保険が同2.3%減少したが、建設工事保険やスマートフォン関連の保険など新種保険のその他が同10.7%増加するなど増収につながった。

 支出に当たる正味支払保険金はコロナ禍からの経済回復を背景に自動車保険の事故受付件数が伸びるなど増加した。ただ、事故発生による支払いや契約履行に備えて積み立てておく支払備金や責任準備金がそれぞれ前期より減少したことで本業のもうけを示す保険引受利益が14.8%増の9億9300万円となった。

 損保会社の収支状況を表す指標で、100%を下回れば良好とされる「コンバインド・レシオ」は92.8%で目標の96.5%以下を達成した。支払い能力など財務の健全性を示す「ソルベンシー・マージン比率」は819.6%で基準値200%を大きく上回った。期末配当は1株当たり同5円増配し55円と決めた。

 与儀社長は「前半は少し苦戦したが、経済活動の再開で後半は挽回した。一定評価できる」などと総括した。来期は景気回復が続くとし増収を計画するが「物価上昇が保険金単価に影響し収益を圧迫するとみている」と減益を見通した。
 (謝花史哲)