「対応に限界」「利益食いつぶす」 きょうから電気料金値上げ 夏本番を前に、かさむ冷房代 事業者ら苦慮


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 沖縄県内の電気料金が6月1日から値上げされることになった。コロナで疲弊していた県内の観光施設や事業者は、ようやく回復の兆しを見せたばかり。国や県の補助金で一定程度抑制されるが、原材料費の高騰や、夏本番を前に冷房代もかさむのは確実で「対策には限界がある」と苦慮する声も漏れる。

 不満、いら立ち

 多くの飲食店やホテルが集まる北谷町美浜。ある事業者の男性は「やっと売り上げが回復したところなのに…」とため息をつく。「電気料金が利益を食いつぶしてしまう」と警戒する。

 事業者に重くのしかかるのは冷房などの空調費で、電気使用量の6~7割を占めるという。町内のホテル事業者は「非日常を味わいに来ているお客さまがいる中で冷房代の節約はできない。対策の取りようはない」と、いら立ちをあらわにする。別の事業者は「どの事業者もコロナを乗り越え踏ん張っている。沖電の企業努力が感じられない」と不満を述べた。

 省エネに取り組む

 国内外から多くの観光客が訪れる本部町の沖縄美ら海水族館も、対策に苦慮する。同館は照明や空調の更新時に電力消費のより少ない機械を採用するなど、値上げ前から省エネに取り組んできた。しかし今回は想定できないほどの値上げとし、「できる対策は限られている」と語る。

 県内でクルマエビの養殖を営む事業所は、電気料金値上がりによる経営逼迫(ひっぱく)を少しでも抑えるため、発電機の稼働を検討しているという。担当者は「発電機は高くつくので非常時にしか使っていなかったが、長い目で見て、今後は発電機の方が安くなるだろう。そのくらい電気料金が値上がりしている」と話した。

 八重瀬町にある相談支援センター・ハルハウスは、障がいのある人などの就労支援事業で弁当を製造販売している。原材料高騰で弁当の価格やメニューを変更したが、さらなる調整が必要になると見込む。担当者は「利用者の工賃は売り上げから材料費や光熱費を差し引いて支払うため困っている。料金の上がり下がりはクーラーなどの使用に関する情報共有が必要なので、早めの周知があると助かる」と注文した。 (石井恵理菜まとめ)