「港湾業界をばかに…」 石垣PAC3配備、説明なく怒り 全港湾労、自宅待機は見送り


社会
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住民の生活物資などが搬入される石垣港=5日、石垣市

 【石垣】石垣市南ぬ浜町の新港地区への防衛省・自衛隊による地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備を受け、安全確保のため市内の港湾業者3社の組合が6日から組合員約50人の自宅待機を検討していた件で、組合側の代表者が5日に市内で3社の役員と協議した。組合側は同様の問題は他の港でも起こりうると懸念。業者側に対して「石垣市に職場の安全確保を申し入れること」などを求め、6日の自宅待機は持ち越しとなった。

 協議に参加した全港湾の関係者は、これまで国や市から「全く説明がなかった。八重山のみならず港湾業界をばかにしており、軽視している。甚だ遺憾だ」とPAC3に振り回され、人手不足や物流の滞りも心配される事態に憤る。

 組合側は5日、全日本港湾労働組合沖縄地方本部から副委員長と書記長の2人、八重山部会から部会長ら4人が代表として出席し、3社の役員計4人が対応した。5日の協議で組合の要求に理解を示した港湾業者側は、代表者が市の担当部長らと6日に面談することを決めた。「安全な職場環境の確保」のため、港からのPAC3撤収などを求める。

 6日の市との面談は県内の港湾会社が加盟している一般社団法人・沖縄港運協会として組合の意向を伝えに行く。組合は6日の市の対応を注視しており、動向次第では7日からの自宅待機も辞さない考えだ。

 5日の協議に加わった全港湾の関係者は「いくら国が決めるからといっても、当事者(港湾業者)には連絡があるべきだ。他の業種でも同様のことがあれば許されないはずだ」と語気を強め、港湾業者を「ないがしろにしている」と国や市の姿勢に怒りの声を上げた。八重山部会の関係者は「組合として組合員の命と安全を守りたい」と神妙な面持ちで語った。
(照屋大哲)