2人のまっすぐな姿 「僕らには僕らの言葉がある」 詠里作 <司書の推し本>16


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「手話は言葉なんだと再認識させられる」と話す小川久美子さん

[推しポイント]

 手話は「言葉」なんだと再認識させられる漫画です。野球がしたいという、ろう者の真白のために、バッテリーを組む野中は指文字を覚えたり、グラウンドに文字を書いたりして言葉を伝えようとします。逆に真白も、野中のために声を出す練習をし始めます。2人が少しずつ歩み寄り、その言葉と思いが通じたとき、読者である私たちの胸も熱くなります。2人のまっすぐな姿に心打たれる一冊です。
 (小川久美子 与那原中学校)

[あらすじ]

 ろう者の相澤真白は硬式野球をするため、特別支援学校から普通学校へ進学する。入学式で指文字の表を配り、手話であいさつするが興味を持ってくれる人は少ない。野球部の野中宏晃も、自分とは関係ないと思っていた。ところが、真白がピッチャー希望者として野球部に入ってきて、バッテリーを組むことになったことから、2人の関係は変わっていく。


 若者の活字離れ、読書離れが指摘されて久しい。学校からは「図書館離れ」に嘆く司書の声が聞こえる。読書活動推進を目的に、新企画「司書の推し本」では、子どもたちに読んでもらいたい「推し本」を、学校図書館の司書に紹介してもらう。