【南風原】南風原町の南風原文化センターの企画展「箝口(かんこう)令!語れなかった沖縄戦」が5日、始まった。「慰霊の日」に合わせて開催される検証6・23シリーズの取り組みで、戦時中に公表されなかった対馬丸の沈没、軽便鉄道の列車爆発事故などを紹介、当時の新聞も展示して戦争がどう伝えられたのかを考える。企画展は入場無料、27日まで開催。
1944年8月22日の対馬丸の沈没では、生存者の手紙などを展示。手紙は家族9人が亡くなったことを伝えながら「一行なりとも隣近所の人に知らせてはなりません」と書かれている。また地元の南風原国民学校は、対馬丸沈没を知らず、その後も学童疎開を送り出したことが分かる。
12月11日に神里集落近くで起きた軽便鉄道の爆発事故は220人余りが亡くなった大惨事だ。しかし展示された翌日の新聞には事故のことが全く書かれていない。このほか、米軍上陸後も、日本軍の戦果を強調し戦意高揚を図る沖縄の新聞、県外新聞も展示している。
学芸員の前城菜美子さんは「対馬丸の沈没と、軽便鉄道の爆発事故から来年で80年。それに向けて企画した。箝口令から沖縄戦を見るという展示はこれまでにないだろう。ぜひ見に来てほしい」と話す。南風原文化センターは午前9時~午後6時開館、毎週水曜休み。電話098(889)7399。
(岩崎みどり)