沖縄戦に動員された元学徒ら、亡き友を追悼 3年ぶりに平和祈念の会 戦争阻止を訴え


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「全学徒戦没者追悼・平和祈念の会」で献花する元学徒や参列者ら=13日、沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園内「全学徒の碑」前(ジャン松元撮影)

 沖縄県の「慰霊の日」を前に、沖縄戦に動員された県内21校の元学徒らでつくる「元全学徒の会」は13日午後、雨が降りしきる中、「全学徒戦没者追悼・平和祈念の会」を糸満市摩文仁の平和祈念公園の「全学徒隊の碑」の前で開いた。開催は3年ぶり。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年を最後に中断していた。

 90代半ばに達する元学徒ら7人が集まり、沖縄戦で亡くなった学友らを追悼した。今年1月、元全学徒の会が沖縄を戦場にすることに断固反対する声明を発表したことなどに触れ、恒久平和を訴えた。

 「全学徒隊の碑」と説明板は、沖縄戦で県内21校から男子や女子学徒が動員されるなどして1984人が戦没した歴史を伝える。元全学徒の会などの働きかけで県が2018年に設置した。13日、元学徒らは碑の前で献花し、手を合わせて沖縄戦で亡くなった学友らを追悼した。

 元全学徒の会共同代表で、戦前は県立農林学校生だった瀬名波栄喜さん(94)は「何のための戦争だったのか。われわれが真に願っていたのは、決して戦争ではなく、平和で自由な学園、平和な家庭、平和な社会、平和な国だった」とし、「戦時中、果たし得なかった世界の恒久平和を実現すべく、引き続き尽力したい」とあいさつした。

 15歳で沖縄戦を体験した翁長安子さん(93)は平和宣言を読み上げた。ウクライナでの戦争や南西諸島でも「台湾有事」が取り沙汰されていることを念頭に「いかなる戦争であれ、阻止しなければなりません」と訴えた。その上で、全学徒隊の碑と戦没者数を記した説明板が、恒久平和の砦や平和教育の指針となることを祈念した。
(中村万里子)