「玉泉洞」発見の男性が今、伝えたいこと 沖縄戦の遺品を展示 25日まで 八重瀬町・具志頭分館


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日本軍が残した医療資材など多数の戦争遺品や壕の全容図などを展示している沖縄鍾乳洞協会の山内平三郎理事長(左)と松永光雄理事=6日、八重瀬町中央公民館具志頭分館

 【八重瀬】NPO法人沖縄鍾乳洞協会(山内平三郎理事長)は、これまで蓄積した壕の測量図や写真、収集した戦争遺品など300点以上の展示を通じて沖縄戦の実相を伝える「八重瀬町での戦争実態展~沖縄終戦までの1カ月」を町中央公民館具志頭分館で開催している。25日まで。見学無料。

 山内理事長(75)は復帰前から県内の洞窟調査に取り組み、玉泉洞(南城市)発見などの功績がある。同協会ではこれまでに、沖縄本島南部の約8割の壕の測量を実施した。松永光雄理事(69)は長年にわたりボランティアで遺骨収集も手掛けている。

 資料展示は昨年に続き2回目で「沖縄戦の激戦地で、多くの犠牲者が出た八重瀬町の戦いの実態を、若い世代に伝えよう」と企画した。

 1945年6月6~16日の八重瀬町における戦闘の日本軍・米軍双方の配備や進軍方向を図示。多くの人が避難した「新里洞」や、日本軍の遺品が昨年多数見つかった「安里第二壕」などの全容が分かる測量図に、収集した遺品の種類や収集地点も詳細に書き込まれている。防毒マスクや医薬品、飯ごう、歯ブラシなど日本軍の遺品のほか、井戸から収集された黒焦げのコメや、人のものとみられる骨片も展示されている。山内理事長らは「自分たちの町でどんな戦いがあったか、子どもたちに知ってほしい。遺品を手に取り、当時の人たちの息吹を感じてもらえたら」と話した。問い合わせは山内理事長(電話)090(1517)2027。
 (岩切美穂)