県、来月にも国提訴 取り消し執行停止に抗告 辺野古埋め立て


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 米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設をめぐり、県は16日までに翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しの効力を失わせた石井啓一国土交通相による執行停止決定を不服として、決定を取り消すよう求める抗告訴訟を裁判所に提起することを決めた。抗告訴訟で「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」と裁判所が認めた場合、審理中、裁判所は執行停止の効力を止めることができる。裁判所に「緊急性」を訴えることで、沖縄防衛局が進めている工事を止める狙いがあるとみられる。早ければ12月にも提訴する公算が大きい。辺野古新基地建設をめぐり、県が提訴の方針を決めたのはこれが初めて。

 訴えには県議会の議決が必要なため、25日開会予定の県議会11月定例会に追加議案として提出する方向だ。県関係者によると、代執行訴訟の口頭弁論時期や国地方係争処理委員会の第2回会合の時期などを見据えながら、提訴の日程を決める。
 行政事件訴訟法は行政庁の審査請求に対する裁決や決定などの取り消しを求める抗告訴訟を定めている。県は同訴訟を提起し、国交相の執行停止決定の正当性について、裁判所に判断を求める構えだ。
 翁長知事は10月13日、「取り消しうべき瑕疵(かし)が認められた」として前知事による埋め立て承認を取り消した。取り消しの無効化を求める不服審査請求と、その裁決まで取り消しの効果を止める執行停止を求める沖縄防衛局の申し立てに対し、石井国交相は同27日、執行停止を決定し、翁長知事の取り消しの効果を止めた。執行停止により承認の効力が復活したことを受け、防衛局は同29日に本体工事に着手した。
 石井国交相の執行停止の正当性をめぐっては、県は11月2日、総務省が所管する第三者機関の国地方係争処理委員会にも不服審査を申し出ている。係争処理委は同13日に第1回会合を開いたが、県の申し出を審査対象とするかはまだ決定していない。(当銘寿夫、島袋良太)