「発火しないカメラ」開発 沖縄・宜野湾のリルズ 工場などの計器の点検用 海外進出も視野


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協調出資と事業展開を発表した(左から)沖縄科学技術振興センターの屋比久義所長、リルズの大西敬吾社長、沖縄公庫の浦崎英士調査役=16日、那覇市おもろまちの沖縄振興開発金融公庫

 多様な機器を通信でつなぐモノのインターネット(IoT)技術のサービス開発を手掛けるLiLz(リルズ、宜野湾市、大西敬吾社長)は16日までに、カメラ自体の発火事故を防いだ、防爆型の自動計器点検カメラの開発に成功した。可燃物を取り扱う工場など高温・低温下でも自動的に異常を感知する自社製品を改良した。沖縄振興開発金融公庫と沖縄科学技術振興センターなどが同日、5億9823万円の協調出資を発表した。沖縄発の遠隔点検カメラとして、量産化や海外進出も視野に販売網の拡大を進める。

 温度を検知するサーモ型も開発中で、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の協力も得て、海外展開に向け9人から17人にチームを拡充する。26年の販売台数は累計10万台、売上高は22年比約52倍の72億2200万円を目指す。

 同社は計器類の監視業務の多くが手作業で実施されていたことに着目。ビルや工場など大型施設で利用される計器類を監視できる「IoTカメラ」を開発した。設定した時間で画像を撮影し、インターネット上のクラウドサーバーに自動送信することで、離れた場所から計器の異常などを監視できるシステムを提供している。約3年稼働を可能にした低消費電力設計を実現し、22年までに累計約5千台を出荷した。今回はカメラ自体の発火など事故を防ぐ研究に約1年かけて取り組み、厳しい認証に合格する技術開発につなげた。年内に防爆型の各種認証を受け発売する予定だ。

 大西社長は「産業用途に耐えうるカメラで、世界でニーズがある。開発費も落ち着き来年黒字化を目指す。世界にいち早く届けられるよう進めていきたい」と意欲を示した。

 沖縄公庫の浦崎英士調査役は「今回の資金調達は社の成長発展につながる。各方面で課題となっている点検作業の省力化を図ることができる、社会的意義のある技術だ」と評価した。
 (謝花史哲)

※注:浦崎英士調査役の「崎」は、「大」が「立」の下の横棒なし