米軍人との離婚 県民支援の体制拡充を 真栄田若菜(一般社団法人IAm(アイアム)共同代表理事)<女性たち発・うちなー語らな>


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真栄田若菜

 米軍人と結婚し米国に住んでいた妹が今年離婚し、先月5歳の娘と一緒に沖縄に戻ってきた。昨年末に突然離婚の話が出て、4月に離婚が成立した。妹の離婚により米軍関係者との離婚やトラブルについて考えるきっかけとなった。

 米軍基地が身近にある沖縄では、米軍関係者と恋愛をし、結婚する女性も多い。しかし残念ながら離婚となってしまう場合もある。国際結婚をした以上、国際離婚もまた隣り合わせであり、そこには日本と海外の法律や制度の違いといった問題が立ちふさがっている。米軍の場合、数年おきの転勤など、さらに事情が特殊だ。妹がそうであったように離婚するとなって初めて知ることや、さまざまな壁に突き当たる。

 そもそも日米では離婚制度が違う。日本の協議離婚は離婚届を提出するだけで離婚が成立する制度があるが、米国では弁護士探しから始まり、子どもの親権や養育費、面会回数、財産分与など、双方が同意した事項が細かく記載された協議書を作成し、裁判所からの承認を得て離婚成立となる。

 夫が米軍人の場合は専門用語に精通した弁護士を探す必要がある。米国の州によっては、一定期間の別居期間を経ないと離婚手続きが始められない場合もあり、長期にわたる離婚協議の間手続きを終える前に子どもを連れて帰国したくても、ハーグ条約があるため、夫の許可なしに片方の独断で子どもを連れて日本に帰ることも難しい場合が多いのが現状だ。

 妹の場合は弁護士が米軍人の離婚事情に精通しており、夫が離婚手続きに協力的であった。さらに同じく米軍人と離婚した友人やSNSなどから具体的なアドバイスと家族の支援も得られた。夫と養育費などの諸条件に合意し、円満に数カ月で離婚手続きを終え、引っ越し荷物の輸送費や渡航費を米軍に負担してもらい沖縄に戻ってくることができた。

 しかし、残念ながら妹のケースは運が良いほうだ。夫が離婚に協力的でない場合は、自分に不利な条件で離婚が進むこともある。米軍人の夫の転勤で海外に居住し、子どもを出産し、夫の福利厚生と収入が生活費の基盤となっている場合、たとえ悩みを抱えていたとしても、誰を頼り、どこに相談したらいいのか分からず、言葉や文化、金銭面など分厚い壁に囲まれ一人孤独を感じている女性も少なくないだろう。

 県内には離婚など米軍関係者とのトラブルに悩む女性を支援する窓口が数カ所設置されている。しかし、相談者が県外・国外に居住する場合、それらの相談窓口制度の利用は制限される。オンライン相談制度の拡充や、相談制度の周知等、県内だけでなく国外に居住し米軍関係者とのトラブルに悩む県民女性がアクセスしやすいような支援体制が拡充することを願っている。