米兵タクシー強盗事件の賠償請求控訴審、9月に判決 被害者家族、国が義務怠ったと指摘 沖縄


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福岡高裁那覇支部

 沖縄市で2008年に発生した、公務外の米兵2人によるタクシー強盗致傷事件で、被害者家族が遅延損害金を含めた損害賠償金の支払いなどを国に求めた訴訟の控訴審第2回口頭弁論が15日、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)で開かれた。同日結審し、判決は9月14日。

 原告側は準備書面で、沖縄防衛局長が、米側との仲介者として負う査定義務を怠ったことで、米側の見舞金が遅れ、原告が法的利益を損なったと主張した。また見舞金を定める省令の「査定」と、関連する日米地位協定の「査定」の意味を判決で明確に示すよう求めた。一方、国側は日米地位協定本文の英訳対照全文の書類を提出するにとどまった。

 控訴審では損害賠償請求と、国が省令に基づく処分をしないことの違法性を問う抗告訴訟の二つが提起されている。米側が支払った見舞金が裁判所で確定した賠償額に満たなければ、日本政府が差額を穴埋めする「SACO見舞金」制度の適用などが争点となっている。

 昨年7月の一審那覇地裁判決は原告の訴えを、損害賠償請求では棄却し、抗告訴訟では却下していた。


▼第1回口頭弁論では日本政府が棄却を求めた