【名護】大阪府の大阪いずみ市民生活協同組合(堺市、組合員世帯数55万人)は冷凍の沖縄県産丸オクラの販売を今秋にも開始する。同組合が提携する「産直農家」の約100カ所の中から、名護市の農業生産法人KSファーム(島袋勝博社長)の丸オクラを選定した。同組合が産直農家の野菜を冷凍加工して売り出すのは初めて。時季が外れた冬から春先にかけての安定供給を目指すほか、供給過多となった際の値崩れを回避し、産直農家を支援する。
丸オクラは、全国で栽培されている角オクラと比べて柔らかく、粘りが強いとされ、県内各地で生産、流通している。同組合はKSファームの丸オクラを産直野菜として取り扱い、組合員への宅配や、直営店舗で販売してきた。一方、県内での丸オクラ生産は台風などの気象条件に左右されやすいほか、市場が限られているため豊作で供給が上回ると、値崩れが起きやすい状況も続いてきた。
契約農家と販売店を結ぶ流通会社・向伸(栃木県)の荻野研一常務によると、冬場になると、オクラは全国各地のスーパーで外国産が流通している。荻野常務は「円安が続いており、外国産の野菜が割高となっている。冬場のオクラの価格も上がる可能性もある」と指摘し、丸オクラの冷凍加工による安定的な国産品供給に期待した。
いずみ市民生協は、今後もトウガンやビッグピーマンなど県産野菜の冷凍加工を目指す考え。同市民生協の新家孝章バイヤーは「収穫した後にすぐに冷凍すれば天候のリスクを避けることができる。沖縄の野菜の多彩さは知られていないので、ぜひ多くの組合員にも知ってほしい」と話した。KSファームの島袋社長は「生産者として安定して卸せることにつながり、安心感ができる」と話した。
(池田哲平)