子どものバス置き去り防止へ 沖縄スイミングスクール、全車に安全装置を設置


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車両後部に設けられた安全装置のスイッチ。エンジンを切ると注意を促す音が鳴るため、乗員が座席の確認をしながら後部に進み、スイッチを押して音を消す

 本格的な夏のシーズン到来を目前に送迎バスを利用する子どもたちの置き去りを防ごうと、県内6カ所で水泳教室を運営する沖縄スイミングスクール(浦添市、大湾朝仁社長)は、6月から全ての送迎用車両27台に安全装置を設置した。昨年、静岡県で通園バスに置き去りにされた女児が亡くなる事故が起こったことを踏まえた措置。「機器を入れることでヒューマンエラーを防ぎ、利用する子どもたちを守りたい」と話している。

 静岡県での事故を受け、政府は保育所や幼稚園などの通園バスに対して安全装置の設置を義務付け、1台当たり17万5千円を上限に費用を補助して対策を進めている。一方でスポーツクラブなどの送迎バスについては、補助の対象外で、設置は自己負担となる。

 沖縄SSでは、送迎用バスに運転手とは別に職員1人を添乗する2人体制を取り、チェックシートも設けて安全対策を図っている。ただ、それでも過去には置き去りになりかねない事例があったことから、5月から独自で対策に乗り出した。

 導入に当たって、試算では数百万円かかるところを、自社で装置を海外から取り寄せたり車両に取り付けたりといった企業努力を行い、コストを削減した。今後は職員から意見を聞くなどし、安全対策マニュアルの更新も検討する。

 大湾社長は「できる企業から安全装置を設置することで、子どもが安心してバスを利用できる環境を整備したい。そうすることで県全体で安全安心への関心が高められたらと思う」と意義を強調した。

(小波津智也)