沖縄戦の組織的な戦闘が終結したとされる1945年6月23日から78年となる「慰霊の日」を迎えた。県内には今なお生活を脅かす不発弾が残り、所有者不明土地は未解決、遺骨収集は難航する。戦後処理は終わっていない。「戦後」は歳月を重ねる一方、近年は政府による南西諸島の軍備強化や、沖縄を取り巻く国際情勢が厳しさを増し「新たな戦前」の危険性が指摘されている。
1945年の沖縄戦から78年たった今も県内には多くの遺骨が眠っている。厚生労働省の資料によると、2022年度の沖縄戦戦没者の遺骨収集数は46体分(暫定値)となっている。厚労省と県、民間ボランティア団体は2022年3月、合同で豊見城市の旧海軍司令部壕などの大規模壕で現地調査を実施するなど遺骨収集活動を続けている。一方、身元特定作業は難航している。
戦没者遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は、遺骨収集活動の課題として後継者不足を指摘し「収集をボランティアだけに任せては限界がある。戦後処理事業として人材育成につなげてほしい」と話した。
沖縄戦戦没者の22年度のDNA鑑定申請件数は107件、前年度からの持ち越しを含めた審議件数は202件だった。結果は全て一致せず「否定」となり、新たに身元が分かった遺骨はゼロだった。厚労省社会・援護局事業課の担当者は、沖縄など南方地方の遺骨やDNAは状態が良くないため鑑定が難しいとし、「何かしらの手がかりがないと身元の判明が難しい状況だ」と述べた。厚労省は沖縄では17年度から、全国および海外では21年10月から遺留品などの手がかり情報がない場合でも公募によるDNA鑑定を進めている。
(與那原采恵)