「おばぁの涙は、摩文仁の丘に永遠(とわ)に灯(とも)る平和の火は、今、私たちに問いかける」。静かな会場に、平安名秋(へいあんなあき)さん(17)=つくば開成国際高3年=の力強い声が響いた。詩の原稿とともに壇上に持って上がったのは、祖母が大切に保管してきた海軍で亡くなった兄の写真だ。参列者に問いかけるように「私は過去から学び、そして未来へと語り継いでいきたい」と平和を紡ぐ決意を示した。参列者は目を閉じて聞き入り、涙を流す人もいた。
平安名さんの3分余りの自作の詩「今、平和は問いかける」は、平和の礎に刻銘された兄の名前にそっと触れる祖母の情景描写から始まる。最初は柔らかな語り出しだった。日常が崩れ、戦禍となった78年前の場面では一転、言葉が熱を帯びた。前日深夜まで練習を重ね、目線をほぼ落とすことなく参列者一人一人に向けて読み上げた。
式典前、祖母が宝物にしている兄の写真をスマートフォンで撮らせてもらった。その写真は「お守りのようなもの。心強かった」。祖母は自宅のテレビで朗読を見守った。
「帰ったら、ちゃんとできたよと伝えたい」と平安名さんは笑顔で話した。
(高橋夏帆)