【読谷】戦後78年を迎えた慰霊の日の23日、読谷村比謝の牧原公園に3月に建立された「牧原の碑」で初の慰霊祭が開かれた。牧原自治会の会員ら約50人が参加し、沖縄戦の犠牲者を追悼した。
旧牧原集落は戦後、米軍に土地を接収され、現在は嘉手納弾薬庫の敷地内にある。そのため、牧原の住民は読谷村の比謝、伊良皆、大木、古堅、渡具知、大湾、楚辺、大添、そして村外へと散り散りになっている。
慰霊碑は、牧原の住民が集まって追悼したいという要望や、体験者が減る中で若者に戦争体験を継承する意味も込めて建立された。南洋諸島で犠牲となった住民を含めて72人が刻銘されている。慰霊祭で牧原自治会の與古田松吉自治会長(74)は「牧原の御霊(みたま)の悲しみ、無念の思いを心に刻み、歴史の教訓を若い世代に語り継いでいくことが私たちの使命だ」とあいさつした。
戦争体験者の嵩元盛順さん(85)は「私たちは生きており、生かされている。世界が平和になるよう祈り、子や孫たちを立派な社会人として愛し、育てていくことを、犠牲となった御霊に誓う」と述べた。(名嘉一心)