沖縄の景況感、4期連続プラスでコロナ前の水準に 人手不足感は強まる


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 日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)が3日発表した6月の県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の業況判断指数(DI)がプラス31となり、3月調査から7ポイント改善した。プラスは昨年9月から4期連続で、新型コロナウイルス感染拡大前の19年9月(プラス32)以来の水準だった。資源価格上昇の影響を受けつつも、経済活動再開で観光や消費需要の回復の動きが続いている。

 業況判断DIは、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数。建設では自治体発注の公共工事が減少傾向にあるとの指摘があったほか、宿泊・飲食サービスでは全国旅行支援の適用外だった大型連休の需要がやや弱かったとの受け止めがあり、プラス幅は縮小した。

 22年度の設備投資額は前年度比8%減だった。ただ23年度計画は同22・9%増が見込まれ、同支店は設備投資の前向きなスタンスは失われていないとみている。需要回復を見据えた投資や、省人化を図る投資を増やすとの声も聞かれた。

 人手不足感は強まっている。雇用人員の過不足判断のDIはマイナス54となり3月調査からマイナス幅が2ポイント広がった。新卒採用計画は22年度の実績値が前年度比3・7%減と採用を絞る動きがあったが、23、24年度は同11・3%増、19・4%増となっている。

 原材料費などの上昇を受け、仕入れ価格や販売価格の判断DIは高止まりが続く。企業からはコスト上昇分を価格転嫁して利益を確保したり、賃上げの原資に充てるため販売価格を引き上げているとの声があり、飯島支店長は「今後の物価の動向が消費にどう影響を及ぼすかは注視が必要」と述べた。
 (當山幸都)