沖縄県内企業の専門人材採用を支援する「県プロフェッショナル人材戦略拠点」(人材チャンプルー)が2022年5月に本格始動して1年が経過した。各業種で人手不足感が強まる中で商品開発や広報戦略、デジタルトランスフォーメーション(DX)など特定の経営課題解決のため、正規雇用ではなく「兼業・副業」で専門人材を活用する事例が多くなっている。月10万円以内で採用でき費用対効果のメリットもあり、兼業・副業人材のマッチング(成約)に力を入れている。
この1年余で300社弱の企業を訪問し、経営課題や必要な人材についてヒアリングしてきた。マッチング実績は今年4~6月が13件(予定含む)で、22年度1年間の10件を既に上回った。
計23件の内訳は、正規雇用が8件、兼業・副業が15件となっている。泡盛酒造所がSNS活用やECサイト構築のため兼業・副業人材を雇用したり、県内ダイビングショップ大手が人事部の責任者としてシニア層を採用したりするなどのマッチングがあった。
採用された人材は年齢別で30~40代が多いが、60代も3人と、経験豊富な中高年層が一定数を占めた。正規雇用の年収は400万円台が中心だが、兼業・副業であれば月額報酬3~5万円、有料紹介会社を通じて別途手数料が発生する場合でもほとんどが10万円以内で抑えられている。
県外で活躍するプロ人材を正規雇用で呼び込めれば理想的だが、人手不足が深刻化し、特に賃金水準が低い県内では待遇面でもハードルがある。人材チャンプルーの當山司マネジャーは「若い人材、正規雇用という固定観念にとらわれないことも大事だ」と話す。
県内企業の経営課題解決につなげてもらおうと、沖縄振興開発金融公庫と共催で7月14日に同公庫中部支店(沖縄市)で、同21日には名護中央公民館でプロ人材活用セミナーを開催する。定員は各20社で、事前申し込みが必要。
(當山幸都)