警察官が常駐しない沖縄の阿嘉島に初の「移動交番車」 夏の観光シーズン対応 8月末まで


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移動交番車を内覧する島民ら=20日、座間味村阿嘉の阿嘉港

 沖縄県警那覇署は20日、夏の行楽シーズンを前に座間味村阿嘉島の阿嘉港ターミナル前広場に移動交番車を派遣した。県内離島への移動交番車の搬送は初の試み。座間味村は警察官が常駐していない阿嘉・慶留間島への駐在所の配置を県に要望している。座間味村の宮平真由美副村長は「移動交番車の運用が交番所設置への一つの足掛かりになるのでは」と話し、期待を寄せた。移動交番の警察官派遣は7月20日~8月31日。

 慶良間諸島は2014年に国立公園に指定され今年で9年を迎えた。今年は3年ぶりにコロナ禍による行動制限がない夏となることから、多くの観光客の来島が見込まれる。

 同ターミナル前広場で20日、「阿嘉島・慶留間島における警察官派遣開始式」が開かれ、本島から運ばれた移動交番車の内覧などが行われた。那覇署の大城美喜地域交通官は「水難事故や飲酒に絡むトラブルなど、各種事件・事故の増加が見込まれる」と話し、島民らに事件事故防止の協力を呼びかけた。

 署によると、座間味駐在所への今年の110番通報は6月末時点で17件、そのうち8件が阿嘉・慶留間島からの刑法犯や相談事案などだった。

 両島の警察業務は通常、座間味島の座間味駐在所が担っている。座間味島から阿嘉港までは船で約10分かかる。島内では「台風時などの災害時、事件・事故が発生した場合に警察官の到着に遅れが出るのでは」との懸念の声が上がっているという。

 阿嘉島の配達業の男性は「ビーチや港で騒ぐ観光客もいて、怖いと思うこともある。警察がいることで、何かあれば声を掛けられるので安心する」と話した。

 (西田悠)