マイナ保険証の読み取り不具合、沖縄でも 現行の保険証廃止に懸念 「過渡期」「いずれ整う」の声も 利用者にアンケート


この記事を書いた人 Avatar photo 古堅一樹

 同姓同名の別人への誤交付や金融機関口座のひも付けミスなど、トラブルが相次ぐマイナンバーカードの利用者に、琉球新報社は6日から14日まで、無料通信アプリLINE(ライン)の公式アカウント登録者を対象に、アンケート調査を実施した。

 マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」について、医療機関のカードリーダーの不具合で使用できなかった沖縄県内の事例も寄せられるなど、不安の声が聞かれた。一方で「まだ過渡期」「いずれ整って運用される」としてトラブルは改善されていくと見立てを基に、冷静に受け止める声も上がった。

 渦中にあるマイナンバーカードを巡って利用者はどのような意見を持っているのか、回答結果から見えることや寄せられた意見を紹介する。

 

■取得理由で多いのは「マイナポイント」

 

 まずはマイナンバーカードを持っているかどうかと取得した理由について聞いてみた。

 

(問1) マイナンバーカードは持っていますか?
「持っている」84%(79人)
「持っていない」14.9%(14人)
「まだ役所に取りにいっていない」1.1%(1人)

 

(問2)マイナンバーカードを取得した理由は何ですか?
「マイナポイントがもらえるから」31.9%(30人)
「住民票や証明書がコンビニで発行できて便利」27.7%(26人)
「役所から通知カードが届いていたから」8.5%(8人)
「身分証として使える」5.3%(5人)

 

 アンケートへの回答者は約8割が取得済みで、取得した人たちが多く回答した。

 ただし、実際には沖縄の取得率は低い。総務省ホームページによると、都道府県別のマイナンバーカード取得率(2022年11月末時点)で沖縄は43.3%で47位と全国で最も低い。最も取得率が高かったのは宮崎県の68.5%だった。 

 

 マイナンバーカードを取得した理由では、「マイナポイントがもらえるから」が最も多かった。次いで「住民票や所得証明書がコンビニで発行できるなど便利」、「役所から通知カードがもらえるから」が続いた。ポイント還元や便利さを感じて取得した回答者が多かった。「その他」の理由として「確定申告に便利だから」や「ワクチンの接種証明アプリ利用のため」などを挙げる人もいた。

 

カード取得者も半数は未使用

 マイナンバーカードを持っている回答者に、実際に使ったことがあるかについても聞いた。取得したと回答した人の中でも「使ったことがある人」と「使ったことがない人」が、おおよそ半々に答えが割れた。

 取得理由に「マイナポイントがもらえるから」と答えた30人のうち、「使っていない」と答えた人は17人と過半数だった。

(問3)マイナンバーカードを持っている人へ。使ったことがありますか。
「はい」51.1%(48人)
「いいえ」48.9%(46人)

 

(問4)取得したマイナンバーカードを返納する例が全国的に増えています。返納するお考えはありますか?  
「返納しない」53.2%(44人)
「これから返納したい」14.6%(12人)
「分からない」31.7%(26人)
「すでに返納した」0%(0人)

 

 全国的に取得したマイナンバーカードを返納する事例が出ている中、返納する考えがあるかについても聞いたところ、「返納しない」と答えた人が53%(44人)と最も多かった。

 「トラブルと言ってもそれほど生活に影響出ない。カードが無くなっても、マイナンバーが無くなってる訳では無い。ただのパフォーマンスにしかならない」(那覇市に住む会社員の30代男性)などの声が聞かれた。

 一方、「返納したい」と答えた人も14%と一定数いた。その中には「トラブルに対する不安があるから」(那覇市に住むアルバイトの30代女性などの理由が挙がった。「分からない」と迷っている人も約3割した。

 

■68%がマイナンバー「不安」

 マイナンバーへの不安はあるかについて尋ねたところ、「とても不安」(39.6%)、「少し不安」(28.6%)を合わせると、計68.2%が不安を感じていると答えた。回答者の8割超が既にカードを取得している中で、不安を持っている人の割合も多い印象だ。

 一方で「あまり不安はない」(19.8%)、「全く不安はない」(12.1%)を合わせて31.9%が不安はないと答えた。

(問5)マイナンバーカードへの不安はありますか?
「とても不安」38.3%(36人)
「少し不安」29.8%(28人)
「あまり不安はない」20.2%(19人)
「全く不安はない」11.7%(11人)

 

 不安があると答えた人の中には、政府が2024年秋までに現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを保険証としても使う「マイナ保険証」への移行を打ち出している点を踏まえた回答もあった。

 那覇市に住む50代の男性=会社員=は「医療機関のカードリーダーの不具合で保険証としての使用ができなかった」と明かし、正常に機能しない事例が県内でも出ている例を挙げた。

 トラブルの事例として、マイナ保険証を使用する際には顔認証が必要となるが「まれに顔認証しない」(豊見城市在住、会社員の60代男性)との報告もあった。
 
 那覇市に住む40代男性=無職=は「特に不安はないが健康保険証にするのは選択制にするべきだと思う」と指摘し、現行の保険証かマイナ保険証かを選べるようにすべきだとした。

 今回のアンケートは、マイナンバーカードについての捉え方や課題、トラブルの事例などについて利用者の声を聞くことが目的。無作為で抽出して電話などで聞く世論調査とは異なる。回答者は94人で、このうち県内在住者が90人(95.7%)、 県外在住者が4人(4.3%)だった。

 また、自治体職員向けのアンケートでは、本島南部の自治体に勤務する女性はトラブルを減らすために必要なこととして「ダブルチェックなど、複数人で確認することや、そのための人材確保。(非正規職員の)会計年度任用職員に任せず、職員が責任を持つこと」と指摘した。

(古堅一樹)


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