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沖縄の離島地域におけるNPO法人の役割 専門性高いスキルで課題に対応 <けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 日本では、1995年の阪神・淡路大震災を機に市民団体の活動が活発になった結果、98年に民法の特別法として特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動法人(NPO法人)が誕生しました。2023年3月末現在、内閣府の認証を受けたNPO法人は5万368法人、うち沖縄に470法人が存在します。そのうち、58法人は離島を中心に活動しています。

 島しょ圏である沖縄県は、南北に連なる広大な海域に38の有人離島と16の無人離島、その他多数の島々で形成されています。県にはさまざまな課題がありますが、中でも特に離島地域は、地理的要因や顕著な人口減少もあり、本島とは異なる特殊事情を抱えています。島々では行政を中心に課題解決に向けて取り組んでいますが、より専門性の高いスキルをもったNPO法人などが課題に対応するために存在しています。

 例えば、公的サービスの補完的役割としてNPO法人が船舶の待合所の指定管理者を担い島民の生活基盤を整えています。介護医療施設が島になく、高齢者が島外に出るケースも起きている現状があることから、NPO法人が中心となり新たな福祉施設をつくり島の福祉を下支えしている事例もあります。高齢者の福祉サービスを担うと同時に若者の雇用を創出し、島からの流出を防ぐ目的があります。

 県内におけるNPO法人は、本島のみならず離島地域においても地域特有の課題を解決するため日々活動しています。今後、離島における人口減少がさらに大きな課題となる中で、NPO法人の活躍とそれに伴う離島地域の活性化が期待されます

(おきぎん経済研究所研究員 玉城円)