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台湾のハンセン病テーマの記録映画「大風之島」が最高賞 カンヌ見本市、那覇の会社が製作・配給


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ドキュメンタリー部門の「カンヌ・ドックス」で最高賞に輝いた映画「大風之島」のプロデューサーを務める黄インイクさん=6月、那覇市内

 台湾のドキュメンタリー映画「大風之島」(台日仏合作)がこのほど、カンヌ国際映画祭に合わせて開かれた世界最大規模の映画見本市「カンヌ・フィルム・マーケット」のドキュメンタリー部門「カンヌ・ドックス」で、最高賞に輝いた。同部門には、32作品が推薦ノミネートを受けていた。同映画の製作・配給などを手がけるのは、那覇市にあるムーリンプロダクション(那覇市)。同社の黄インイクさんは、同映画にプロデューサーとして携わる。黄さんは「想像していなかった。欧州や北米の世界的な配給会社からも数社連絡が来ている」と、世界規模での展開に期待を膨らませる。

 「カンヌ・フィルム・マーケット」は、まだ完成していない新作企画がノミネート対象。「大風之島」は台湾にあるハンセン病療養所・楽生療養院の取り壊しと、患者の強制移転を巡る20年間の闘いを主題にしており、許雅婷監督が2005年から追い続けてきた。現在も編集中で来年1月の完成を見込んでおり、配給はムーリンプロダクションが担当する。

 黄さんは作品について「人権問題のために闘う『民衆の価値』が描かれている。この20年間でどのように台湾の民主化や人権が前に進んだのかを見ることができる」と説明している。
 (長濱良起通信員)