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那覇-久米島を1時間で 高速船が来年4月就航へ 新会社「久米島オーシャンジェット」が運航、所要時間を片道2時間短縮


この記事を書いた人 琉球新報社
那覇ー久米島間の就航に向けて、久米島オーシャンジェットがJR九州旅客船から購入したジェットフォイル「ビートル」(提供)

 【久米島】那覇―久米島間を約1時間で結ぶ高速船が、来年4月をめどに新規就航する見通しであることが8日までに分かった。民間の「久米島オーシャンジェット」(久米島町)が運航事業者となり、就航によって那覇―久米島間の航路は片道2時間以上短縮する見通し。同社によると、JR九州高速船(福岡市)から「ジェットフォイル」と呼ばれる水中翼船を買い取り、7月末に売買契約が完了。久米島町への観光客数が伸び悩む中、利便性の向上によって新たな需要を掘り起こし、町の活性化につなげていく考えだ。

 久米島オーシャンジェットは化粧品製造・販売を手掛ける、ポイントピュール(久米島町)の大道敦社長が立ち上げた新会社。同社が購入したのは、JR九州高速船が博多―韓国・釜山間で運航していた高速旅客船「ビートル」。船は1便210人乗りとなるよう、内装などの整備に着手している。

 オーシャンジェット社によると那覇港-兼城港(久米島町)を1日2往復し、運賃は往復1万2千円(片道6千円)。夏場や正月は臨時便も運行する予定で、年間23万~25万人の利用者数を見込んでいるという。さらに、一括交付金事業を活用した住民割引や、同社独自の学生、久米島郷友会への割引も検討している。

 同社によると、沖縄総合事務局運輸部や県などとも調整を進めている。船は8月から整備を始め、年明けにも試験運航を開始する予定で、準備を進めている。同社によると、現在運行している久米商船との連携を目指している。航空便を運営する日本トランスオーシャン航空(JTA)、琉球エアコミューター(RAC)とも協調し、久米島への観光客の誘致を推進するとしている。

 久米島オーシャンジェットの大道社長は「宮古、八重山の観光客数が増加する中で、久米島は落ち込んできた。人口減少も続いている。民間で高速船を運航することによって、地域の活性化につなげていきたい」と話した。
 (池田哲平)