3両編成きょう出発 開業20年迎えたゆいレール 経費増で運賃改定議論も


この記事を書いた人 琉球新報社
習熟運転中の沖縄都市モノレールの3両編成車両=6月19日、那覇市首里儀保町(ジャン松元撮影)

 沖縄で戦後初の軌道系公共交通機関として稼働した「ゆいレール」は10日、開業から20年を迎える。運営する沖縄都市モノレール(那覇市、渡慶次道俊社長)は同日に記念式典を開き、3両編成車両の運行を始める。利便性や集客力の向上を図り「年度内で乗客数延べ3億人突破」を見込む。一方、開業から20年が経過し設備の劣化が顕在化。修繕費のほか電気料金の増加を背景に、同社は料金改定について社内で議論を進めていることを明らかにした。

 2012年度からは8年連続で年間乗客数を更新するなど好調に推移していたが、コロナ禍で激減し、財務がさらに悪化した。行動制限の緩和で利用客はコロナ前に戻りつつあるものの、3両化に伴う経費増に加え、動力費や人件費、修繕費など経費が膨らむ傾向にある。

 渡慶次社長は「収入で補えるのか、見定めて早めに結論を出さないといけないと思っている。許認可事項なので当局の了解を得ないとできないことだが、運賃改定は考えざるを得ない」と説明した。

 9日に公表された県の23年度包括外部監査報告書によると、同社は中期経営計画の見直しの中で、23年度に客単価207円から213円に引き上げる運賃改定(3%)を見込むなどとしており、今後は沖縄総合事務局との間で協議が進められるとみられる。
 (謝花史哲)

■乗客数は右肩上がり オキカカード導入など効果

 ゆいレールは2003年8月に始動した。県内にはなかった軌道系の公共交通機関として物珍しさもあり、平日・休日を問わず多くの利用客が押し寄せ、開業月の平均乗客数は1日当たり約4万6600人と大盛況だった。

 華々しくスタートを切ったものの、その後は減少し、翌年以降は3万人台で伸び悩んだ。

 08年にリーマンショックや新型インフルエンザの流行などの影響を受けながらも、11年から車両ラッピング事業の展開や混雑時に運行間隔を短くするダイヤ改正などに取り組み、徐々に集客力を上げた。

 14年には交通系のOKICAカード導入などが奏功し、平均乗客数は4万人台の月が増加していくなど右肩上がりで推移した。

 18年度には1日平均乗客数が5万人を突破した。

 浦添への延長区間が開業した19年度には年間乗客数が過去最高の約1975万7千人を記録した。しかし20年度からコロナ禍で利用者が激減。その中でも同年度に開業以降の通算乗客数が2億5千万人を超えた。コロナ明けは再び需要が戻り、月平均の1日当たり乗客数が5万人まで回復している。