台風に備える(上)停電・断水の前にできること 沖縄特有の課題も 防災士・稲垣暁さんに聞く


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 7月末から8月7日にかけて沖縄地方全域で猛威を振るった台風6号。沖縄本島地方や周辺離島、大東島地方は、停電や断水が長期化し「台風慣れ」した県民の生活を直撃した。社会福祉士・防災士の稲垣暁(さとる)さんに、台風6号で見えた備えの在り方や避難所の課題などを聞いた。

 稲垣さんは今回の台風で那覇市内の避難所2カ所を訪れた。このうち、市銘苅のなは市民協働プラザには「これまでの台風では2~4人くらいの避難者だったが、今回は約50人はいた」と述べ、停電のためエアコンが使えず、暑さから避難者が増えたとみる。

 熱帯夜の日数が全国と比べて非常に多いことや非木造住宅が9割以上を占める点、共同住宅の割合の高さ・高層化という社会的背景があり「本土と違う沖縄の状況を踏まえた防災を考えないといけない」と説明する。

 「鉄筋コンクリートの住宅は放射熱が高く室温が下がらない。また共同住宅で、水を送るポンプが停電で停止し、断水が起きる事態が今回顕著だった」と話す。

 稲垣さんは停電や断水への備えに「台風接近前にありったけの水をためること」を薦める。トイレなどの生活用水確保に加え、「手足を水につけたり、うちわや扇子に軽く水を含ませてあおいだりして体を冷やせる」と熱中症対策になる。ペットボトルの水を冷凍し、冷凍庫に常備することもポイントだ。停電時は冷蔵に移して保冷でき、室内に置いて熱中症対策にもなる。このほか、クーラーボックスや保冷バッグの活用などを挙げた。

 (座波幸代)


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