名護市辺野古の新基地建設に向け沖縄防衛局が進めようとする大浦湾からのサンゴ類移植を巡り、県は17日、農林水産相が県に移植を許可するよう是正の指示をしたことは違法で無効だとして、指示の取り消しを求める訴訟を福岡高裁那覇支部に提起した。
大浦湾の軟弱地盤のサンゴ類移植を巡り、県と農林水産相の意見はこれまで、国地方係争処理委員会(係争委)で対立してきた。舞台は高裁に移るが、双方とも同じ主張のままぶつかり合う見通しだ。
県側は、沖縄防衛局が埋め立て設計変更の承認を県から受けていないとして、「埋め立てができないため、サンゴ類採捕の必要性が認められない」と主張してきた。農相の指示が根拠とする、国土交通相が県の設計変更不承認を取り消した裁決に対し、県は「無効で指示の根拠を欠く」と指摘。農相の指示に対しても「権限の乱用が認められる」とも批判している。
農相は、県による設計変更不承認は国交相裁決で取り消されているなどとして「防衛局は変更承認を得て、適法に埋め立てができる法的地位を付与されてしかるべき」と反論する。移植については「サンゴ類の保護・保全に資する」と強調している。
係争委は、農相の指示が、国交相裁決が有効であることを前提としていることに「判断の瑕疵(かし)はなく、違法であるとはいえない」などと判断した。県は訴状で新たに、係争委の判断には裁決の拘束力に関する理解に誤りがあると訴えている。