沖縄料理とゆんたく味わう お食事の店くろちゃん(今帰仁村) <うちなー味まーい>84


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
人気メニューのてびち煮付(750円)=10日、今帰仁村湧川のお食事の店くろちゃん

 今帰仁城跡につながる国道505号に、沖縄料理のメニューを掲げた看板が現れる。それにつられておなかをすかせたドライバーがどんどん訪れる。「お食事の店くろちゃん」は、観光客にも地元客にも人気の食堂だ。

 「台風は大丈夫でしたか」「お子さんは何カ月になるの?」。勤め人や親子連れでにぎわう店を8月に訪れると、店主の安田昌代さん(77)が客に言葉をかけて回っていた。壁にはこれまでに訪れた有名人たちのサインや写真が飾られている。

 安田さんが得意の沖縄料理を生かして、コミュニケーションができる場をつくりたい、との思いで20年ほど前に自宅敷地に開店した。店名は黒字を祈願して名付けた。ほど近い運天港の伊平屋・伊是名航路を利用する人や、中南部の老人会、海外からの団体客も集うようになった。全40席が一杯になることもある。

 「てびち煮付け」はだしが染み込んだ豚肉の柔らかさが絶妙で、スープと漬物が付いて税込み750円。てびちとソーキと三枚肉が載った沖縄そば「よくばりそば」(750円)も人気だ。物価高の昨今、ゴーヤーチャンプルー(650円)やチャーハン(500円)などの価格がありがたい。「家賃が出ない分、お客さんに還元する」と値上げは考えていない。

 作業が少し落ち着くと客席を回り、閉店の午後3時前になるとサーターアンダーギーを揚げるのが店主の日課だ。「沖縄の大衆食堂は減ってきたけれど、体が元気であるうちは、あと2、3年はやりたいね」と笑う。

 営業時間は午前11時~午後3時。定休日は火曜。今帰仁村湧川1578の16。電話0980(56)3919。

(増田健太)

お食事の店くろちゃんの店主・安田昌代さん=10日、今帰仁村湧川のくろちゃん