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米軍PCB廃棄物、県外処分へ 沖縄防衛局が運搬業者を募集 4施設保管物「ドラム缶13本分」


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎
トリイ通信施設内で保管されているPCBを含む蛍光灯安定器(県への情報開示請求で入手した資料より)

 県内の米軍基地で使用されていたポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物について、沖縄防衛局は21日、キャンプ・シュワブなど4施設で保管されている廃棄物を処分場へ運搬する業者を募集する入札公告を実施した。運搬先の処分場は全国5カ所に整備された処理施設のうちの一つ「北九州PCB処理事業所」を明示し、今年10月15日までに運搬するよう求めた。

 対象となるのはシュワブのほか、トリイ通信施設、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場のPCB廃棄物。数は「JESCO指定容器ドラム缶13本」とした。

 沖縄防衛局はこれまでの琉球新報の取材に対し、4施設で蛍光灯安定器やコンデンサー、変圧器など3975個のPCB廃棄物が保管されていると明らかにしていた。本年度内に処分できるよう関係機関と調整しているとも説明しており、今回の手続きはその一環とみられる。

 ただ、3975個全てが今回の運搬業務で処分されるかは不明だ。廃棄物のうち低濃度と明示されたものは12個にとどまり、多くは濃度不明だ。国内法で、濃度不明のものは高濃度廃棄物として取り扱うことが定められている。

 高濃度廃棄物の処分期間は遅い地域でも今年3月までだった。

 それでも間に合わなかった業者らへの救済措置として21年には環境相が各立地自治体に要請し、特例として処理を継続している段階だ。

 また、県への情報公開請求で入手した、防衛局が6月に提出したPCB廃棄物の保管状況に関する報告書によると、外国メーカーの名前が明記された廃棄物も多数あった。外国製品が含まれているとみられる。

 国内の処分施設は国産廃棄物の受け入れを念頭にしており、これらの受け入れを巡って議論が起きそうだ。
 (知念征尚)