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一生懸命がかっこいい! 仲盛康治(仙台育英学園沖縄高・沖縄大非常勤講師)<未来へいっぽにほ>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ある中学校で生徒指導を担当した時の話。当時「まーめーしー」と言って、真面目にすることをひやかす雰囲気が校内で蔓延(まんえん)していました。私たち教員は毎日やんちゃな生徒たちと衝突し、苦難の連続でした。それでも粘り強く彼らと向き合ううちに「どんな子でも今の自分を超えたいと思っているはず。われわれは彼らを褒め、認め、本音を聞いていたか? 自己存在感や自己決定の場を創っていたか?」ということにたどり着きました。そして「一生懸命がかっこいい」というスローガンを掲げ、教職員とPTAや地域の方々と共に「優しくするより活躍させろ!」を合言葉にある行動を起こしました。

 真面目に頑張る生徒たちを中心にしたあいさつ運動、写真コンテスト、生徒主体のイベント等を開催したのです。そのうち校内の雰囲気は落ち着き始め、その様子を見計らい、今度はやんちゃな生徒に獅子舞、エイサー等への参加を呼び掛けました。一番印象的だったのは「優しい名の下に」という演劇。主人公(暴走族)は事故をきっかけに入院するが、不治の病の少年と出会い、立ち直っていくサクセスストーリーです。最初は斜に構えていた彼らですが、台本の読み合わせが始まると目つきが変わりました。共感的な人間関係が生まれた瞬間です。

 夏休み、彼らは円陣を組んで感動の舞台を熱演しました。その後は参加者を増やし、台本をアレンジしてお出掛け公演もやりました。最後の舞台で「君たちは、将来のドル箱スターだ!」と互いに涙しました。そのメンバーは今や社会を担う人材と成長しています。いろいろ言われているけど、やっぱり教員って楽しいよ!