「泡盛は世界に通用」 米在住の当銘さん、自店で古酒提供へ


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忠孝酒造の大城勤社長の説明で泡盛を試飲する(左から)マイナー・モラレスさん、ポール・クインさん、当銘由盛さん=20日、豊見城市のくぅーすの杜「忠孝蔵」

 米国カリフォルニア州で人気の日本食レストラン「すし蘭」を経営する県出身の当銘由盛(よしもり)さんがこのほど帰沖し、米国人ビジネスパートナーと共に県内の泡盛酒造所を視察している。来年3月開業の2号店「Nomica(ノミカ)」の出店に合わせ、泡盛の古酒を本格的に提供する考えだ。当銘さんは「やはり自分の故郷の酒をお客さんに勧めたい。泡盛は絶対に世界で通用する」と話した。同行するのは、すし蘭総支配人のポール・クインさんと財務責任者のマイナー・モラレスさんで、米国の有名ホテルなどで飲食業に携わってきた。

 開業準備を進める2号店「ノミカ」はカリフォルニアでLGBT(性的少数者)の中心地としても知られるカストロ地区に立地する。あらゆる酒を用意し、日本食を中心に楽しんでもらう。
 米国の酒類販売免許では度数25%以上はハードリカー(蒸留酒)として規制が厳しくなるため、米国向け泡盛は24%以下に希釈して出荷するのが主流だという。当銘さんは「24度では泡盛の良さを伝えるのは難しい。新しい店で本物の泡盛を売るからには経営パートナーにも納得してもらう」と来沖理由を語り、クインさんも「食事や酒にお金をかける知識層が多い個性的な場所に新店を出すので、泡盛にもチャンスがある」と語った。
 3人は19日から本島内の8酒造所を視察。20日は忠孝酒造の大城勤社長から、豊見城市のくぅーすの杜「忠孝蔵」の案内を受けた。自ら工房で酒甕(がめ)を焼き上げるという泡盛造りへのこだわりとともに度数43度の「よっかこうじ」はウイスキーボトルのような洒脱(しゃだつ)な体裁。「この形なら世界共通で蒸留酒と認識される。世界中のホテルのラウンジやバーに並べたい」と語る大城社長に、モラレスさんたちも「昨夜の夕食の席で、こんなデザインのボトルがほしいねと話をしていたところだ。カクテルとして提供することは、お酒を紹介する有効な手段だ」と意気投合した。
 当銘さんは1982年に渡米。日本の食や酒のたしなみ方を丁寧に説明する接客で、85年に開店した「すし蘭」は年商4億円、従業員60人の人気店に成長した。2009年には農林水産省主催の日本食海外普及功労者表彰を受けている。
 当銘さんは「泡盛に知名度がないのはカクテルのメニューがないためだ。一度火が付けばあっという間に世界に広がる」と力説した。