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有害物質PCBってなんだろう?<ニュースはじめの一歩>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

Q PCBって何だろう。

トリイ通信施設内で保管されているPCBを含む蛍光灯安定器(県への情報開示請求で本紙が入手した資料より)

A ポリ塩化ビフェニール(PCB)は人工的に作られた、主に油状の化学物質です。電気機器などさまざまな製品で利用されていました。1968年、食用米ぬか油に混入した食品公害「カネミ油症事件」で危険性が社会問題となりました。

 症状として全身のだるさやしびれ、食欲がなくなること、皮膚の黒ずみ、吹き出物などが報告されています。がんを引き起こす可能性も指摘されています。

 製造や輸入が禁止され、定められた期間で処分することになりました。濃度が高いPCBを含む廃棄物は遅くとも今年3月までに処分する必要がありました。濃度が低いものも2027年までに処分しなければなりません。

 しかし、米軍が県内外の基地で未処分のPCB廃棄物を大量に保管していることが発覚しました。民間事業者なら法律に違反している状態です。PCB製品をまだ使っている基地もあります。過去には県内の米軍基地周辺や跡地でPCB汚染が問題となりました。

 日本国内ではPCBの流通量を把握するため、民間事業者には都道府県への報告義務があります。米軍は日米地位協定の特権を背景に実態把握や日本側への報告を怠ってきました。日本政府や米軍も、どの基地にどのぐらいの量のPCB製品が残っているのか全容を把握できていません。

 米軍は海外製のPCB製品も持ち込んできましたが、本国への持ち帰りを渋り、返還予定の基地に放置する可能性もほのめかしています。防衛省は既に一部の廃棄物を引き取り、税金を使って処分しています。