ハブクラゲ、死亡はすべて10代以下 刺されたときの処置法は? 沖縄県が観光客など周知に力


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 8月中旬に名護市内のビーチでハブクラゲに刺された女児が一時、意識不明の重体になったことを受けて県衛生薬務課は31日、ハブクラゲ対策講習会をオンライン上で実施した。ビーチの管理者らが対象。体の小さい未成年が刺されると大人より重症化しやすいほか、近年では県民より県外在住者の被害割合が増えているため、県は予防策を含めて周知に力を入れている。

 県によると、1998~2022年の被害数は計2865件。月別では、夏場の遊泳とハブクラゲが成体になる時期が重なる7~8月が約85%を占めている。年代別では10代が34.1%、10歳未満が25.0%で10代以下で約6割だった。全年代の症状別では軽症が61.0%だが未成年は重症化しやすく、1961年以降の死亡例3件、呼吸停止例7件は全て10代以下だった。

 刺されるとミミズ腫れや水ぶくれのほか、重症化すれば血圧低下などのショック状況も引き起こされ、広範囲に刺されると数分以内に心肺停止になる恐れもある。

 県衛生環境研究所は、刺された場合は(1)すぐに海から上がる(2)酢(濃度約5%)をかける(3)触手をそっとはがす(4)冷やす(5)病院受診―などを呼びかけている。

 呼吸や心臓が止まった場合は、即座に心肺蘇生をすることも強調した。

 酢はハブクラゲの触手から毒のある刺胞の発射を抑える効果があるが、カツオノエボシなど他の生物だと被害を悪化させる可能性があるため、担当者は「刺された生き物が分からない場合は、海水で触手を取り除いてほしい」と呼びかけた。

 台風が来ると、ハブクラゲの生息場所が変わることもあるため、ビーチなどの管理者には、ハブクラゲ侵入防止ネットの管理や点検などを呼びかけた。
 (嘉陽拓也)