独自通貨で売り上げ向上 読谷・むら咲むら 電子化でマーケティング強化


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染め物工房の前で導入したオリジナル電子通貨「むら咲ペイ」を紹介する読谷ククルリゾート沖縄の国吉真吾社長(右)=8月29日、読谷村の同施設

 【読谷】読谷村高志保の「体験王国むら咲むら」は本年度から、体験コーナーなどで利用できる紙クーポンを廃止し、スマートフォンのアプリを使い施設内で利用できる電子通貨「むらさきペイ」を導入した。DX(デジタル・トランス・フォーメーション)の一環。デジタル化によって各工房の売り上げ動向が日ごとに確認できるため、データ分析によるマーケティング強化を図る。体験コーナーの売り上げ平均も500円アップし、効果が出ている。

 施設を運営する読谷ククルリゾート沖縄の国吉真吾社長によると、長期的には電子通貨の残額がある人向けのクーポン配信など、リピーター確保に向けたプロモーションにもデータを活用していく。従来は体験工房など施設内で使える3千円1組の紙クーポン(入場料込み)を販売し、事務所とテナントオーナーが月次で売り上げを決済していた。

 「むらさきペイ」のアプリは、オリジナル電子マネー発行プラットフォーム「Pokepay(ポケペイ)」を利用している。アプリで料金をチャージし、各工房や園内のレストランでQRコードを使って支払いする。2千円チャージごとに通常600円の入場料が無料になる。アプリを通した売り上げの1・5%を「ポケペイ」運営会社に支払う。工房などでは現金による支払いも引き続き可能。

 国吉社長によると、紙のクーポン使用時には資材費などで体験売上高の0・8%と決済処理や記録などに要する人件費がかかっていた。電子通貨の利用でこうした作業を自動化し、マーケティング強化に注力したい考え。

 電子通貨の導入によって、現金をあまり持ち歩かない外国人観光客や若年層による利用のハードルを下げる。電子通貨導入後、体験コーナーの売り上げ平均は1人当たり約4500円と、従来より500円程度上がったという。国吉社長は「従来は修学旅行が主な利用者だったが、コロナ禍もあり環境が変化してきた。個人客への対応を強化する」と説明した。
 (島袋良太)