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【全文】辺野古裁判、最高裁判決 玉城知事コメント「地方自治の本旨ないがしろに」


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沖縄県庁

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に伴う沖縄防衛局の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡る県と国の訴訟の最高裁判決で、県敗訴が確定したことを受け、玉城デニー知事は4日午後、県庁で記者会見を開いた。知事コメント全文は以下の通り。

 沖縄防衛局の埋立変更承認申請に対し承認処分をするよう国土交通大臣から受けた是正の指示の取消しを求めた関与取消訴訟について、最高裁判所は、国土交通大臣の裁決に係る先日の上告不受理決定に続き、本日、県の上告を棄却するとの判決を言い渡した。

 最高裁判所には、憲法が託した「法の番人」としての矜持(きょうじ)と責任の下、地方自治の本旨を踏まえた公平・中立な判決を最後まで期待していただけに、極めて残念だ。

 県は、B―27地点の力学的試験の必要性や、工事の実施がジュゴンに及ぼす影響及び地盤改良に伴う海底面の改変範囲の拡張が環境に及ぼす影響について、専門技術的な知見に基づいた県の判断に何ら裁量の逸脱濫用(らんよう)はないこと、また、工期の長期化によって普天間飛行場の危険性の早期除去に繋がらないことを考慮した県の判断に、何ら事実の基礎を欠いたり社会通念に照らし明らかに妥当性を欠いたりする点はないことなど、県の判断が技術的にも法律的にも正しいことを強く主張してきた。

 しかし、最高裁判所は、県が主張した公有水面埋立法の承認要件の不充足性について何らの判断も示さず、県の訴えを退けた。

 最高裁判所による国土交通大臣の裁決に係る先日の上告不受理決定は、国の機関の行政不服審査法による私人同様の権利救済を追認した不当なものだった。

 加えて、本日の判決は、本来、公有水面埋立法の承認要件充足性を判断すべきところ、裁決の効力を優先させることで判断を回避したもので、関与取消訴訟の意義を無にするものだ。

 さらには、主務大臣による裁決のみでは地方公共団体に特定の処分を命ずることができないという行政不服審査法の規定を超える義務を地方公共団体に課すものだ。

 このような判決は、地方公共団体の主体的な判断を無にするものであり、地方公共団体の自主性や自立性、ひいては憲法が定める地方自治の本旨をも蔑(ないがし)ろにしかねないものであって、深く憂慮せざるを得ない。

 県としては、判決内容を踏まえ、今後の対応について検討していく。