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「知事は再度不承認を」「普天間、1日も早く撤去・閉鎖を」 辺野古裁判県敗訴


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(左から)北上田 毅さん、山城 賢栄さん

 辺野古新基地建設を巡り沖縄防衛局が申請した軟弱地盤改良工事の設計変更について、県の不承認に対し国土交通相が県に承認するよう「是正の指示」を出したことの違法性を争った裁判は、県の敗訴が確定した。4年前に建設の賛否を問うた県民投票の関係者らも繰り返す民意無視に疑問を呈した。

北上田毅さん(沖縄平和市民連絡会) 知事、再度不承認に

 「わずか5ページの判決内容だった」。判決文を読んだ沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは開口一番に切り出した。県の不承認を違法として請求を棄却した高裁判決の内容に、最高裁がどう踏み込むかが焦点だったと言及し「形式的な内容にとどまり、高裁判決の内容に触れていない。県の不承認の違法性が否定されたことにならないのではないか」と指摘した。

 北上田さんは元土木技術者。情報公開で辺野古海域の軟弱地盤の存在をいち早く指摘した。「判決は軟弱地盤にも一切触れていない」とし、県の今後について「確信を持って再度(設計変更を)不承認し、知事には毅然(きぜん)とした対応をしてもらいたい」と話した。市民としての今後の取り組みを見据え、11日に判決内容を学ぶ学習会を開く予定だ。
 (慶田城七瀬)

山城賢栄さん(第2次普天間訴訟原告団長) 普天間 早期閉鎖を

 米軍普天間基地騒音被害第2次訴訟原告団の団長を務める山城賢栄さん(84)は4日、県の敗訴を受けて「移設先について賛成とか反対という話でなく、1日でも早く飛行場の撤去、閉鎖を実現してほしい」と切実な思いを語った。

 2012年に第1次訴訟団が結成され、普天間の騒音被害の救済などを求めてきた。「日米の返還合意から27年、米軍機が墜落し、街のど真ん中で騒音をまき散らすなどずっと苦しんで、政治に翻弄(ほんろう)されてきた。これで移設がまた動かないなら、誰を信じればいいのかという思いだ」と述べた。

 「宜野湾の苦しみを辺野古に背負ってもらうことに、同じ県民として心苦しいと感じる市民もいる。そのことは皆に分かってほしい」と、複雑な心境を語った。
 (名嘉一心)