「最高裁の役割を投げ捨てた蛮行」 辺野古の基地建設 沖縄県敗訴で海上抗議行動


この記事を書いた人 Avatar photo 平安 太一
辺野古新基地建設を巡る最高裁判決に抗議する市民ら=5日午前、沖縄県名護市の大浦湾

 米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古新基地建設を巡り、県と国が争った訴訟で、最高裁が県の上告を棄却し、県の敗訴が確定したことを受け、新基地建設に反対するヘリ基地反対協議会は5日午前、基地建設予定地の大浦湾で海上抗議行動を展開した。抗議行動にはカヌー11隻、船舶4隻で約20人が参加。同協議会は「(政府に)忖度(そんたく)して民主主義も地方自治もないがしろにする判決は、最高裁判所の役割を投げ捨てた蛮行だ」とし、判決に強く抗議する声明を発表した。

 海上の抗議行動は、軟弱地盤が見つかった海域付近で実施された。カヌーや船舶で「不当判決」「サンゴを守れ!」といったボードを掲げて抗議の意思を示した。声明は大浦湾の軟弱地盤は「生物多様性を底辺で支える核心であり、命の宝庫だ」と指摘。その上で「砂杭で固めて地盤改良、遺骨の眠る南部の土砂で埋めることは許されない」とし、基地建設の即時中止を訴えた。

 最高裁が判決を確定させた4日は、1995年に米兵による少女乱暴事件が起きた日と重なった。市民の1人は「最高裁の裁判官があえて選んだのか、沖縄の歴史に無知なのか分からないが、こんな日に、こんなでたらめな判決を下すこと自体、絶対に沖縄県民は許してはいけない」と訴えた。

 海上集会では米国の公民権運動で歌われた「ウィー・シャル・オーバーカム(勝利をわれらに)」や「沖縄を返せ」などの歌が流れ、市民らはシュプレヒコールで「美ら海、美ら島を守れ」「戦争に加担するな」などと気勢を上げた。

 大浦湾には海上保安庁のゴムボートや沖縄防衛局の船などが沖合に展開。抗議する市民に対して「停船している場所は臨時制限区域となっている。速やかな退去を」などと拡声器で警告していた。海上からは新基地建設の現場で重機が動き回り、美謝川の切り替え工事現場では整備が進んでいる様子などが確認された。