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【記者解説・工程表あり】防衛省は前のめり 辺野古工事入札 今後の県、国の動きは


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 名護市辺野古の新基地建設で、防衛省が大浦湾側の工事の発注手続きに入るのは、司法判断で事業そのものにお墨付きを得たと捉えているからだ。県が承認するかどうかの対応を検討している中でも並行して入札公告を進める段取りからは、防衛省の前のめりな姿勢がうかがえる。

 防衛省が8日に入札公告を予定するのは、大浦湾側の外周を形成する護岸の造成や一部埋め立て区域の地盤改良、海上ヤードの造成に向けた工事だ。外周護岸の造成は、軟弱地盤が最も深い地点に達している海域が対象となっており、契約には地盤改良工事も含む見通し。これらの工事は11月22日の開札予定で、その後に正式な契約を経て実際の工事に入る。最大4年4カ月の工事計画となっている。

 沖縄防衛局が公表した発注予定によると、10月にも埋め立て区域を仕切る護岸造成に関する入札を公告する予定だ。これらの護岸は工事中に土砂の陸揚げ場所として利用する計画となっている。

 防衛省が想定している地盤改良は、砂などで作ったくいを全体で約7万1千本、海底に打ち込む大規模な工事だ。設計変更によって総事業費は9300億円に膨らむ見通し。工期も延びて事業の完了までに12年以上かかる。もはや普天間飛行場の早期返還という目的とは相いれない。

 裁判で争われた手続きの問題とは別に、県民投票などで示された埋め立て反対の民意にどう向き合うかといった政治的な問題は残されている。

 設計変更申請が手続きとして適法であっても、移設計画を推進するのが民主主義として適切なのかどうか見極める必要がある。
 (明真南斗)