辺野古反対「世界発信を」 平和学会沖縄シンポ


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤
辺野古への新基地建設問題や東アジアの連帯と共生の可能性について意見を交わす研究者ら=29日午後4時すぎ、西原町の琉球大学

 日本平和学会の秋季研究集会最終日は29日、琉球大学で、戦後70年の節目に合わせた国際シンポジウム「東アジアのなかで平和を問う-共生と連帯を可能にする条件」が行われた。国内外7人の研究者らが登壇し、領土問題や歴史認識の衝突を抱えた東アジアの「分断」の克服について議論した。名護市辺野古への新基地建設についても意見が相次ぎ、反対運動を継続、発信することが朝鮮半島の緊張緩和につながるとの意見や、「人権」をキーワードとしたネットワークづくりの可能性が提起された。

 2日間の研究集会には研究者200人、一般100人の延べ約300人が来場した。
 韓国の延世大学の白永瑞(ペクヨンソ)教授は「沖縄での反基地の運動は東アジアでの米国の軍事覇権への意思表明であり、世界に発信し続けることが大切だ。このことが朝鮮半島の緊張緩和に役立つと思う」と述べた。
 神奈川大学法科大学院の阿部浩己(こうき)教授は、台湾の「国際人権規約」への自主的批准の取り組みを紹介し「沖縄も、『人権』を対日本政府への(基地負担軽減の)訴えの根拠とするだけでなく、県内の政策も国際人権規約に合わせることが大切だ。それにより各国とつながることができ、アジアの分断構造の解体にもつながる」と話し、人権規約を起点とした国際ネットワークづくりの可能性に言及した。
 そのほか、島袋純琉大教授による、沖縄が自己決定権主張に至る歴史的背景の解説や、沖縄女性史家の宮城晴美さんによる沖縄の女性の自己決定権獲得の戦後の運動の報告などがあった。