金城(興南高)日本新で制覇 全日本障害者ライフル射撃


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
全日本制覇の金メダルと賞状を手にする興南高の金城和真=30日、那覇市の同校

 11月28、29日に長崎県で行われた「全日本障害者ライフル射撃競技選手権大会」のビームライフル立射で金城和真(興南高)が日本新記録をマークして優勝した。昨秋に競技を始めたばかりの高校1年生。初めての試合で思いがけない記録を残したホープは、「障害者のくくりではなく健常の人とも戦えるよう強くなる」とさらなる飛躍を期す。

 生まれてまもなく左脚の膝より下を切断し、義足で生活している。中学まで特にスポーツ経験はなく、「家でゲームをしたりBB弾(プラスチック製の弾)で遊んだりするのが好きだった」と言う。中学3年の時、母の勧めで県ライフル射撃場に足を運び、体験してみたところ「狙った通り的に当たると気持ちがいい」とはまった。そして強豪の興南高校射撃部に入部し、本格的に競技を始めた。
 今回出場したのは、立ったままの姿勢から光線銃のビームライフルを用いて10メートル先の的を狙い、30分間で40発の合計点を競う種目。大阪の選手と2人での対戦に「相手を気にせずいつも通りの射撃をしようと思った」と集中して臨んだ。普段から実力の高い部活仲間と競い合っていることも好結果につながった。
 5キロほどある銃を扱うために下半身の安定感が求められる。金城の場合、重心をかけた際に義足の左脚に痛みを感じることがあるというが、「集中力や体のバランスを保つ難しさが面白い」とハンディを前向きにとらえる。12月には全国高校選抜大会の出場を懸けた九州予選に出場する予定だ。「健常者とある程度の差はある。それでも上位に食い込めるよう頑張りたい」と笑顔で誓った。(大城周子)