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【記者解説】玉城デニー知事、国連出席へ その意義、期待されることは?


【記者解説】玉城デニー知事、国連出席へ その意義、期待されることは? 定例会見で、国連人権理事会への出席について発表する玉城デニー知事=8日午前、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 玉城デニー沖縄県知事が、国連人権理事会への出席を正式に発表した。2015年に翁長雄志前知事が出席して以来、8年ぶりに国連の場で、米軍基地問題は人権問題だとして国際社会に発信する。

 沖縄は、事件・事故などがある度に日米両政府へ負担軽減を訴えてきた。だが、辺野古新基地は仮に地盤改良工事が予定通り進んだとしても着手から12年を要するとされ、普天間飛行場の危険性除去はいつ果たされるのかも分からない。基地から派生する問題をなくしてほしいという人権尊重の願いは、たびたび経済振興にすり替えられてきた。

 こうした状況を変えようと、玉城知事は日米両政府と沖縄が協議する場を設けるよう求めてきたが、いまだに果たされていない。国際社会は米軍基地問題という側面では「第三者」かもしれないが、普遍的な価値を持つ人権侵害に立ち向かうという意味では「当事者」だ。国際社会に訴える意義は大きい。

 一方で、前回の翁長氏の出席から8年の間隔が空いた。この間、翁長氏の演説を契機に国際社会から協力を呼び込み問題解決へ向けて大きく前進したとは言えないだろう。国連、国際社会への訴えは一朝一夕で実現することは難しい。「地域外交」を掲げる玉城知事の出席を機に、国際世論を味方に付けるためのノウハウ蓄積が期待される。

(沖田有吾)