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世界の沖縄人 交流深化させ学び合いを 大城尚子(北京工業大講師)<女性たち発・うちなー語らな>


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎
大城尚子氏

 5月下旬から7月まで40度の日が多かった北京もようやく秋の気温になってきた。キャンパスで新生活に期待で胸を膨らませる新入生たちを見かけた。いつか沖縄の大学生と北京工業大学の学生たちの交流会を実現したい。

 沖縄の外で暮らすと、若い世代をはじめ多くの沖縄人に沖縄外に出かけて現地の人々と交流し、沖縄にはない建物や自然に触れてほしいと思う。同時に、何世代にもわたって沖縄外に住む沖縄人たちとも交流してほしい。沖縄に居ると日本との関係で沖縄人たちは十分に能力を発揮できていないように感じるが、沖縄外では沖縄人たちが生き生きと活躍しているからだ。

 また、沖縄から離れた場所でウヤファーフジ(ご先祖さま)がいた沖縄を大切に思っていることを知ることもできる。

 大阪に住んでいた時、住民の4分の1の人々が沖縄にルーツを持つ大阪市大正区によく通った。そこの沖縄人、特に関西沖縄文庫の金城馨氏からは、沖縄ではあまり語られない、つらい歴史とユーモアを交えながら大和人と対等な関係構築を試みる方法や思想など多くのことを学んだ。

 また、私自身の研究調査でハワイに、沖縄国際大学沖縄経済環境研究所勤務時は同研究所の調査でブラジル、ペルー、アルゼンチンに行く機会があった。そこで出会った沖縄系の人々たちは多言語を話し、沖縄の言語・文化を継承していることはもとより、ビジネスで成功していたり、大学教員だったりする。もちろん会社員もいる。とても才能あふれる人ばかりだった。

 今年6月、ペルーの沖縄人4世でパシフィコ大学教員のホセ・カルロス・ニシカワ氏に北京で会った。彼は中国の大学・大学院を出ており、沖縄、ペルー、中国をつなぐ文化交流を定期的に開催している。世界中で活躍する彼・彼女らは、まるで大航海時代の琉球国の人のようだと思った。

 ここ数年、国連の先住民族関連の会議で在米沖縄人が在沖の沖縄人と協働で沖縄が置かれている状況を訴えている。沖縄にルーツを持つ人同士の作業は、言葉を超えたつながりになる。今までなかったのが不思議なくらい新しい試みで、沖縄人の力強さと可能性を感じた。

 グローバルに活躍し、ダイナミックな経済・文化活動をしている在外沖縄人から、現在の沖縄人が学ぶことは多い。沖縄にルーツを持つ人同士が相互に学び合い、それぞれの場所で知や技術の循環をしながら、沖縄の将来を具体的に話し合う場をもっと設けられれば、沖縄の未来は明るい。