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デジタル社会へオープンデータ促進を 沖縄県に「量と質」の充実など提言 りゅうぎん総研


デジタル社会へオープンデータ促進を 沖縄県に「量と質」の充実など提言 りゅうぎん総研 県のオープンデータ促進についての提言を説明するりゅうぎん総合研究所の豊田良二社長(右)と志良堂猛史特命部長=25日、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 りゅうぎん総合研究所(豊田良二社長)は25日、県のオープンデータ促進にかかる提言を公表した。今後、沖縄でも「人口減社会」が進んで社会の労働力不足が顕著になった場合にも、県民の生活の質を維持するためにはあらゆる分野や場面でコンピューターが働く「デジタル化」が必要と説明。将来的にはまちづくりもデジタル化した「スマートシティー」の実現が求められるとした。コンピューターが機能しやすい環境の整備に向け、まずは行政が保有する「オープンデータ」の充実を提言した。

 オープンデータはコンピューターが判読しやすい形式で、誰でも無償で二次利用できるデータを指す。例えばコンピューターが自動では読み込めない「PDF」形式のデータは当てはまらない。「CSV」形式だと対象となる。
 りゅうぎん総研によると、県内41市町村は昨年6月時点で11市町村のみしか公開しておらず、都道府県別で最下位だった。しかし23年6月時点では32市町村に増え、全国31位に上昇している。県のオープンデータ専用サイト「沖縄 データプラットフォーム」によると、県と市町村から人口データや飲食店情報など、52種のオープンデータが公開されている。

 一方、先行する東京都では6千種以上を既に公開。沖縄のオープンデータはまだ量も質も充実しているとは言えない状況だ。

 りゅうぎん総研は①県のオープンデータの「量と質」の充実②ユースケース(利用例)の共有③データ活用人材の育成④「(官民連携の)共創の場」でのデータ利用促進|を提言した。

 例として、デジタル先進国のエストニアの事例を挙げた。小国で人的資源も限られており「コンピューターが働きやすい環境の整備」を進めてきた。国民が政府の動きを監視できるように「透明性」「責任追及性」「追跡可能性」を備えたデジタル社会を構築し、国民へ質の高い行政サービスを提供するための社会基盤が整っている。

 提言は「オープンデータ促進は、デジタル社会に向けての下準備にしか過ぎない。言い換えると、オープンデータの取り組みすら進まない社会にDX(デジタルトランスフォーメーション)などあり得ないとも言える」と指摘した。

(梅田正覚)