プロバスケットボールBリーグが10月5日開幕する。琉球ゴールデンキングスの開幕戦は佐賀バルーナーズが相手だ。キングスはプレシーズンゲームも終え、チームの状態も日に日に上がっている。2022―23シーズンに念願の王者となり、今季は連覇の期待もかかる。開幕を前に、創設当時からチームに関わってきた安永淳一ゼネラルマネージャー(GM)に昨季のBリーグ優勝の振り返りと今後の展望を聞いた。(屋嘉部長将)
勝つために必要なこと
-2022-23シーズン(昨季)に悲願のBリーグ初優勝を手にしたキングス。西地区では優勝していたが、リーグ最高成績は21-22シーズンの準優勝だった。昨季の優勝に向けて、安永GMは桶谷大ヘッドコーチ(HC)とあることを話していた。
Bリーグ優勝は非常に遠かった。こんなに遠いものなのかっていうのを勝ってからも感じた。勝つために必要なことが足りてなかったんだろうなと。昨季はとにかく最後にピークを持っていく。それをシーズンの始まる前から桶谷HCと話した。西地区優勝はBリーグ優勝するために絶対必要なことだった。
以前はただ勝てばいいという感じだったけどそれでは次につながらない。昨シーズンは試合に勝って選手たちが喜んでいても、HCはできてないことを指摘した。逆に負けてもいいプレーや戦い方をしていたら褒めた。全員に勝つマインドみたいなのができてきてこれまでと全然違った。
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-bj時代には最多の4度の優勝を果たし、Bリーグに挑んだキングス。しかし、Bリーグ1年目は西地区2位で、CS(チャンピオンシップ)はクオーターファイナルで敗れた。2年目に向けて当時の伊佐勉ヘッドコーチ(HC)が退任、アンソニー・マクヘンリーが退団するなど大きくチームを変えた。
エンターテインメント性だけが強くても駄目、勝たないと駄目なんだというマインドが(Bリーグ)2年目に向けて湧いた。そこで選手を入れ替えた。選手を入れ替えるのが一番酷なこと。できれば一人も入れ替わらず、次の年に行きたいと毎年思っている。ただ、それを一回マインドリセットして『勝ちましょう』となった時のチームが2年目。その代わりこのチームは勝てないと不合格。目標を西地区優勝に置いた。その後は西地区優勝を目標に毎年やっている。
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クーリーの変化と成長
-これまでのキングスはオフシーズンに主力選手が抜けたり、退団選手が多いシーズンがあったりした。一方、このオフは主力選手の退団が少なかった。選手契約の考え方はどのようなものなのか。
一緒に戦った選手たちは成長が見込めるから一緒にやりたいと思っている。(プレータイムを求めるなど)出た方がいい場合もある。移籍に関しては一方的に選手が出ていくわけではなく、一方的にチームがカットしてるわけでもない。双方のためにこれは契約を再延長した方がいいという場合もある。双方にとってプラスということで判断していることが多い。
僕はみんなに(ジャック・)クーリー選手のようなキャリアを積んでほしいと思っている。彼は最初に来た時は独身で、寝不足だったり、深酒があったりしたこともあった。食べすぎてコンディションが優れないことも。その後、結婚して子どもが生まれて、自分が模範にならなきゃいけないという気持ちが非常に強くなった。
試合が終わると、観客に手を振って歩いている。誰かが頼んだわけではなくて、自分からやっている。これだけ応援してもらって、お客さんとコミュニケーションを取らないといけないという気持ちでやってくれている。ファンみんなから親切にしてもらって、居心地がいいと思う。彼(クーリー選手)は「沖縄いいな」という話をよくしてくれる。
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-球団としてさらにその先を見据えて活動している。沖縄社会にキングスがどうあるかということを考え、今後をどう展望するか。
キングスは沖縄の皆さんの魂になりたい。そのためには社会性を高めないといけないと強く思っている。社会性が高くなればなるほど裾野が広がる。一部の人たちだけのものではなくて、みんなのものになる。そこを意識して、沖縄の社会においてのキングスが今どこにいるのかを常に見ながら活動して、キングスが沖縄の皆さんの楽しみに成長するのが大事だと思う。
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優勝報告会で集まったファンに見送られるキングスの岸本隆一(手前)、安永GMら=6月12日、県庁(喜瀨守昭撮影)
キングスは人を寄せつける存在になりたい。かつ、人をとりこに、夢中にさせる生活の一部になるようにしていきたい。次の世代は親からキングスを教わる。その次の世代はおじいちゃん、おばあちゃんやお父さん、お母さんから教わる。『キングス』というスポーツ文化になるために社会性を高めていくことに力を入れていこうと思う。